2004年、シリアのダマスカスを旅した。
当時、日本人旅行者の間では、宮内庁に献上されたこともあるアレッポ石鹸を土産に買い、郵便局から日本に発送するのが定番だった。
確か、5個で2アメリカドルほどだったと記憶している。

郵便局の周辺には、アフガニスタンの紙幣を売る屋台も並んでいた。
私は荷物になるのを避けるため、妹の土産に買った石鹸5個を郵便局から発送することにした。
まず、階段脇にいた梱包屋で石鹸を包んでもらう。
作業を見ていると、梱包屋のおっちゃんが階段の上を指さした。
そこには、ぼろをまとい、片足を失い、松葉づえをついた男性がいた。
髪の毛は白髪交じりだったとおもう。
「あの人はアフガニスタンから逃げてきたんだよ」と、梱包屋は言った。
梱包が終わると、私は1ドル札を取り出し、その男性に渡した。
彼はアフガニスタンから陸路でここまで来たのだった。